グローバル・ガヴァナンスと国際政治理論

英米における理論的視座の比較



データ

著者・編者名 作品の分類 ページ数
中島智朗 国際政治学 110

書籍サイズ 定価(税込) ISBN
A5 1,760 978-4-903447-04-9




概要
国際社会において,秩序の模索は可能であるのか。この問題について,国際政治学の理論的分野では,アメリカを中心に「グローバル・ガヴァナンス」として近年議論されてきたが,イギリスにおいては,「英国学派」を中心として,これより以前に別様の理論的な見方が存在した。ここでは,この両者を比較検討することから議論が展開される。その後に,先の国際秩序に対する見方の相違が,何によってもたらされるのかが考察される。そこでは,アメリカとイギリスの国際政治学者の間にある,そもそもの国際政治理論に対する考え方の相違に特に着目している。そして,ポスト冷戦期の世界政治の現実を考えるにあたって,イギリスをはじめとする,現在の世界の「中心」ではないところからの理論的な視座についての可能性が模索される。



目次
第1章 世界政治秩序イメージにおける「中心」性
   ―米国の「グローバル・ガヴァナンス論」と英国学派の「国際社会論」―

はじめに

T 米国のグローバル・ガヴァナンス論
   ―そこに至るまでの理論的展開とその根底にある発想―
@.ネオ・リアリズム
   ―覇権に秩序安定要因を求める論理構成―
A.ネオ・リベラル・インスティテューショナリズム,国際レジーム論から
    グローバル・ガヴァナンス論へ
   ―制度に秩序安定要因を求める論理構成―
B.米国的なガヴァナンス(秩序)の発想
   ―新しく取り入れられる論理と継続される論理―

U 「国際社会論」からみる国際秩序
   ―それを構成する論理―
@.共通の価値という意識
   ―国際政治における「社会的な」側面―
A.多元性の前提

V 二つの国際秩序イメージの関係
   ―内包される構成主義的な国際政治の見方を軸に―
@.二つの秩序イメージの整理
A.英国的な秩序イメージの先駆性と今日的限界

英米における国際政治理論の意味の相違
   ―本章の結びに代えて―


第2章 ディシプリンとしての国際関係の「理論」における「伝統」
   ―二分法的な思考法からディシプリン間の対話に向けて―

アメリカ国際関係論の「強さ」
   ―はじめに―

T アメリカの学問としての国際関係論(IR)
   ―その二つの特質―
@ 「古典的」手法から「科学的」手法へ
   ―科学的客観性と「価値」的問題の捨象―
A ワシントンの学問
   ―@のような発展を遂げた理論の裏側にある「価値」―
Tの小括

U アメリカ国際関係論を相対化するような見方
@ 国際関係において「理論」は存在するか?
A 国際政治理論の性質の捉え方について
B 国際関係論における二分法の伝統
   ―「国内」と「国際」の二分法に起因するディシプリン間の乖離―
Uの小括
   ―国際関係論における「伝統」―

V ディシプリンの「特殊アメリカ性」からディシプリン間の対話へ
   ―複雑な現実と「理論」の間―

おわりに
   ―ポスト冷戦期における理論的視座への示唆―



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