『宇宙の音楽』

羽層満彦・著

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さっきからなにやら異質な音が私の網膜を刺激して眼球に火花が散っているのだが光の微粒子が鼓膜を突き抜けて脳内のニューロンを駆け巡っている微粒子の波動が信号となって私の脳は音を感知したのであったがその音の意味は不明なままでそもそもヒトが認識する意味はそれ自体がたんなる表象に過ぎないのであって本当のことではないのだが本当のことなんぞヒトが認識し得ないものなのだからヒトは永遠に偽物に騙され続けるしかないのでありヒトが現実だと考えていることなどすべて幻想なのだからさっきから私の網膜を刺激して眼球に火花を散らしている異質な音が本当の音であるのかどうかは私には決定不能なのだからといってさっきから私の網膜を刺激して眼球に火花を散らしている異質な音を放置しておいてよいわけではないのであってさっきから私の網膜を刺激して眼球に散っている火花は私の痛覚をも刺激して不快なのでありヒトは一般的にいって不快なものを避けようと行動するものであって私も例外ではないのだがもちろん不快なものにすすんで身を投じようとするヒトもいるのであって私にもその可能性がないとは言い切れないのだがさっきから私の網膜を刺激して眼球に散っている火花が大きくなって火炎となる



微粒子のダンス

碧空に舞う
宇宙の微粒子が
音を
 たて
森の眠りを
 打ち破る

獅子の咆哮

  谺

一万光年の波が
  弾ける

草原に
 吹き
  荒れる
   太刀風

砂塵の
 おと
  ずれ

朝靄の波音が
樹木を震わせ
シネラリアの花粉が
 目
  覚める

彩雲に
 輝く
  魂
   の
  微粒子
   が

歓喜のステップを踏んで
 疾走 し
 寒波 の
  霞 の
   皮
    膚
     を
  愛撫し

黄金の
 ダンスを
   踊る



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