林(ハヤシ)‐下巻‐

あるいは串刺し球根の「後可能的」な逸脱




立ち読み



祝祭模擬≠フ(100)
別なチーム員(続き)【【その[下水管のような]横穴の中は意外なほど明るく、どうやら末広がりになっているらしい内部というのがかなり明瞭な感じで見渡せたのであったが、そこは[言うならば]群れ≠フ[中間的]亜種たちによる一種の王国≠ェ形成されていたのであり、その中において[亜種A等は]特に拘束されたりすることはないものの[当初期待していたように]そこにおいて中間的亜種たちを自由に狩り獲っていくことができたというわけでもなかったのであって[亜種Aたちは]いわばその王国≠フ中で為すこともなくただひたすら放浪≠続けていく、ということになっていったのだった。

祝祭模擬≠フ(101)
別なチーム員(続き)【【そうした中でやがて亜種Aたちは、王国の辺境部分にあるところの田舎町のようなところに到達するが、当然ながらそこにおいても中間的亜種たちは[やはり]連続的に密集しており[依然として]亜種Aたちの狩り≠ニいうのは極めて困難であったわけであるけれども[建物や街路などもすべてやはり中間的亜種たちの高密度連続体によって構成されており、それらを一つ一つ引きずり出していくのはもちろん、それぞれの切れ目≠ニいうのがどこなのかも全くわからず、亜種Aたちはその田舎町の中をあちらこちらとふらふらうろつきながらも(やはり)ほんのかすかな隙≠キらも見出すことができずに(一番先に大穴≠フ中へと踏み込んでいった亜種ともども)みなすっかり絶望≠オてしまったのだった]やがて亜種A等は、実は個々の亜種[たち]というのはそれほど重要であるわけではなく、適当なところでそれらをカタマリとしてカット≠オていくというやり方≠烽り得るということに気付いていき、事実[でたらめな場所でいい加減に]器具≠打ち込んでみると、あたかも寒天か何かのようにまとまったブロック≠フようなものがつるりつるりといとも簡単に滑り出て≠ォて[亜種Aたちは][むしろ]次々と狩りとられて=Hいくそれらのブロック≠どのように処理≠オていくのかということについて大いに悩んでいくことになったのだった[むろんそのブロック≠フ外縁&舶ェについては、ひどく中途半端に割れて≠オまった中間的亜種たちが折り重なるようにうじゃうじゃとうごめいていたのであるが、それは(実のところ)それほど大した問題ではないということに(今や亜種Aたちは)気づき始めてしまっていたのだった]

祝祭模擬≠フ(102)
別なチーム員(続き)【【しかしそんな狩り≠ネどというものを田舎町が[そのままあっさり]許容していくはずもなく、気が付くとAたち一行はある施設≠フ中において[その町の構成員により]厳しい糾弾≠受けていたのだった[ただもちろんそうしている間にもAたちはみなそれぞれが(やはり)加速し(続けて)いた]そのときAたちが連れ込まれていたのは、施設の中の、ある奥まった?小部屋≠フようなところであり、そこにおいてA等は[やはり加速しながら]町の管理官≠フようなものたちと対面し、これからA等が否応なく引きずり込まれていくであろう措置≠ニいうものについての説明=mを受けていく]こと[になった]のだった[むろんそれらの管理官≠ニいうのは、やはりそれぞれ互いに連続して≠「たのであり、しかもその一つがAたちのいる小部屋全体に広がり切った形で不確定的に並んで?いた([の][で])Aたちは同様に(いい加減に)器具≠打ち込んでいったとしても、果たして管理官を捉える≠アとができるのか、という点について(なかなか確信が)持ち得ないでいるのだった(実際、Aたちはその小部屋≠ノおいて間違いなく管理官たちと対面していたのであるが[それと同時に]そこはほとんど小部屋ですらなく、管理官もほとんど汚い水たまりか何かのようにAたちの足もと付近でだらだらと流れたり[時として]激しく波打ったりといった形でA等をひどく不愉快な気分にしていくと共に、それらの管理官自体の信頼度≠ニいうものも大きく欠損していく、ということになっていったのだった)]

祝祭模擬≠フ(103)
別なチーム員(続き)【【
管理官■:君たちはこの王国≠フシステムというものがいまひとつよくわかっていないようなので、これから実際に君たちの処分≠していく前に、その具体的な内容について少しく説明しておくことにしよう。まず最初に言っておかなければならないのは、我々の王国はある理想郷エリアのど真ん中において加速している[というよりはむしろ]それらの境界上において[峡谷≠ニ共に]落下しているのだということで、それによって王国≠ェ分解されて≠オまうなどということは[今のところ]ないものの、それが王国のシステム≠ミいては[その一部である]この田舎町≠ノおいても[その最も根本的なところを]決定して≠「るのだ[ということは]よく認識しておくべき[だろう][もっとも、峡谷が飛び跳ねて≠「る、というのも境界≠ノおける一つの(状況の)断片であるにすぎず、恐らくはもっとはるかに、我々の理解を絶した極度の引き千切れ状態における、ある種のカン違い≠ニしてそのように受け取っている(に過ぎない)(のであろう)と思われるので、田舎町(あるいは王国=jの決定≠ニいうものについても、そのあたりを踏まえて行っていかなければならない、ということも常時意識していくべきだろう]

(『林(ハヤシ)‐下巻‐』より)



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