ペギの箱舟




【WEBSITE: www.owl.com.net/news/science/

《古マーマルの遺伝子を受け継いだマーマルが誕生》

サザン大陸のウィンダル記念研究所で、一億年前に滅亡したマーマルの化石からDNAを採集、現存するマーマルの卵細胞の遺伝子と組み替え、新たなマーマルを誕生させることに成功した。

これは、大型の肉食マーマル、カタリオンの胎児の化石からDNAを採集、現存するタックの卵細胞に移植したものだ。生後三日経ち、生命活動が正常に機能していることから、成獣まで(3〜5年)成長する可能性が高く、古生物学の研究に新たな道を拓くものと期待される。

ウィンダル記念研究所では、ヒューマンの卵細胞と直立マーマルのDNAを組み合わせることで、古直立マーマルの再生も夢ではないという。ヒューマンとは、八年前にノザマの森で発見された新直立マーマル種で、当地の原住民ブタマンペギの神話から名付けられた。当時は世紀の大発見といわれた。今では、ヒューマンは古直立マーマルの直系の子孫ではないが、それに極めて近い種から進化したものと考えられている。

古直立マーマルは知能がかなり高かったと推定されていること、身長もペギの一・五倍あることから、古直立マーマルの再生は、ペギに代わって単純労働をさせることで、ペギをいわゆる3K労働(危険、汚い、きつい)から解放しうるものと産業界からは期待されている。】

カストルは十二歳の誕生プレゼントにもらったパソコンを、学校から戻るといつものように開いた。オウル通信ネットの科学ニュースを覗いてみると、このニュースが飛び出した。ノザマの森はカストルの両親が初めて出会ったところだ。強く興味が引かれた。ヒューマンに関するブタマンの神話を両親からは聞いている。ただ、ヒューマンの発見当時、カストルは四歳、その意味の重要性までは分からなかった。



書籍の購入方法

本棚ページ

詳細ページ

トップページ