呟く女(つぶやくおんな)




【夏の章】より


水蜜桃丸ごと食らふ山育ち   みなこ

抜き手して男の間(あわい)泳ぎゆく   koinoneko

老人も介護士われも汗滂沱   ゆみ

雷(らい)起こるエンピツのようなビルの先   弓月留菜

「を」から「ん」で閉じたる辞書の五月闇    弓月留菜

みんなしてまくなぎとなるつもりなり   234ちゃん

息遣ひ荒くなりたる鯉のぼり   234ちゃん

闇深し身の裡(うち)更に花火待つ   234ちゃん

横寝して乳房重たき夕薄暑   ゆみ

手間仕事の末に噴水は天へ   234ちゃん

寸分の狂ひ尺取虫(しゃくとり)にもありぬ   234ちゃん

沼は夏得体の知れぬもの動く   妙

すみやかに夏の蝶々となりなさい   234ちゃん

ずっとセクシーな水着買う淋しさ   妙

少年の声しらべよき雲の峰   234ちゃん

余花白くみちのくの空汚れなし   麻里


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