立ち読み






草野春心/作

青空のなかに

すべて
揃っているのに
一つだけ欠けている

つぎの朝のために
ぼくは
生きてゆける

四丁目の永遠

蒼風薫/作
四丁目の彼女は恋をしていた

ひっそりと
誰にも云わず

その想いを
ただひたすらに
大切に
大切に

日日を重ねて
いた
本当は
時間って
永遠に続くものでもないのに

彼女は
きっと
永遠に

…想い続けるのだと思う

彼女は
もしかすると
あり得ないはずの
永遠を

手に入れて
掌の上でそっと
可愛がっているのかも

しれない

じんぐる

ごくろう君/作
ほしぞらが ひろがっていく
君の手に渡るはずだった
きらめく未来のサイズいっぱいに
星たちがひしめいている

じんぐるべる
じんぐるべる
鈴が鳴る
ゴーグルおろして 襟を立てて

走れそりよ 軽く早く
けだるいままの枕の夢と

走れそりよ 風のように
雪の中を 風のように

僕は駆ける ポストからポスト
君から贈られた ごきげんな遺産を
まだ目覚めない まちの隅まで
約束するよ 届けにゆくよ

じんぐるべる じんぐるべる 鈴が鳴る
鈴のリズムに 銀砂の輪が舞う
笑い声を雪にまけば いつか何かの花になるよ

じんぐるべる じんぐるべる 鈴が鳴る
すこし笑って おやすみなさい
君が空までとどかぬうちは 僕はしばらくここにいる


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