サイトオルガニズム発生説・第4巻

細胞が、リフォームした合成DNA冠細胞から生まれる

−ビール作りからの展開−



データ

著者 作品の分類 ページ数 書籍サイズ 定価(税込・円)
猪岡尚志 生物 109 A5 2,750

ISBN
978-4-86420-288-6




概要
筆者は2000年に大病を患いました。余命も限られている状況でした。この時点で、筆者は科学界に何の貢献もしていないことに気がつきました。筆者の研究生活、経験を通して、これから科学を目指す若者に何か残したいという思いで、『サイトオルガニズム発生説‐科学は国の礎〜科学者を目指す若者へ〜』(文芸社、2003年)を出版しました。これはいわば筆者の遺書的書籍で、これで終わる予定でした。その後、幸いにも健康が回復し、小さい研究所を立ち上げ、細々と研究を継続しました。10年ほどかかりましたが、2012年に自己再生(増殖可能)人工細胞の作製法を見出しました。

振り返りますと、人工細胞はスフィンゴシン・DNAを母体としてこれにアデノシンを添加して作製されます。この人工細胞は、外膜がDNAで覆われており、卵白内で増殖することを見出しました。この人工細胞を『DNA冠細胞』(DNA Crown Cells)と命名しました。この経過は、2018年に『サイトオルガニズム発生説・第3巻‐人工細胞が卵で作られる、DNA冠細胞の発見と合成‐』で述べました。人工細胞(DNA冠細胞)の作製法が確立したので、これで一段落と思いました。しかし、社会は「科学がどのように役立つのか」に関心があります。高齢とはいえ、まだ研究ができる状況です。応用的にも何か次につながるような研究を残しておきたいと思い、DNA冠細胞を用いたビール作りを企画しました。その研究中、思いもかけない方向に研究が進展しました。研究材料をDNA冠細胞から合成DNA冠細胞に替えました。この書籍で、この理由なども述べました。この合成DNA冠細胞が簡単に集団化するのです。この集団化した合成DNA冠細胞から、新たな細胞が誕生しました。生命科学の謎を解く源になるかもしれません。本書では、いち早く、その経緯、細胞誕生の様子を読者の方々にお知らせいたします。

その最中、国内外で新型コロナウイルスの感染が発生しました。研究中も収まることがありません。その感染の拡大は著しく、その様相は国難とみなす人も多いようです。これに対処するには、専門の医療関係者のみならず、国民すべての尽力を必要とします。 筆者も、これまでのDNA冠細胞の研究が将来的に新型コロナウイルスの抑制にどのように応用されるかを論じてみました(DNA冠細胞(人工細胞)‐新型コロナ感染防止への期待‐、Applied Cell Biology Japan 33. 1-36, 2020, ISSN 2433-5800)。新型コロナウイルスは、科学的にも未解決なことが多いようです。新型コロナウイルス感染症の完全な終息には、新しい科学の知見を取り入れた研究が必要かもしれません。

本書は、一科学者の研究日誌的書物です。かなり砕いて書きました。ただ、これまでの一連の書籍は、90%が専門家向けという評価が出ております。今回は、さらに専門性が高いかもしれません。読者の方々もさらに限られてくるかと思いますが、一人でも多くの方に読んでいただけましたら幸いです。


(「まえがき」より)



目次

まえがき


序章 DNA冠細胞(人工細胞)の新たな研究
    ‐ビール作りからの展開‐

1 国際学会での講演
2 新たな研究 ‐ビール作りが合成DNA冠細胞を呼ぶ‐

第1章 DNA冠細胞で夢のビールを作る

1-1 ぼやきながらの実験室の準備
1-2 研究方法を検討
1-3 初めてのビール作り
1-4 放線菌のDNA冠細胞の作製
1-5 抗菌性の試験法

第2章 抗生物質産生ビールの作成に成功

2-1 酵母とDNA冠細胞との共培養
2-2 共培養による抗生物質の大量生産

第3章 抗生物質産生機構を探る

3-1 DNA冠細胞の精製
3-2 精製したDNA冠細胞と酵母の共培養による抗生物質の生産
3-3 スケールを小さくしての試験
3-4 抗生物質の性状から産生機構を類推
   3-4-1 見出した現象が、物質によるものかどうか
   3-4-2 DNA冠細胞遺伝子の酵母への導入の可能性
   3-4-3 既存の抗生物質かどうか ‐委託試験を行う‐
   3-4-4 酵母からの抗生物質の産生はあるか
   3-4-5 DNA冠細胞からの抗生物質産生の可能性
   3-4-6 酵母のスクリーニングを試みる
   3-4-7 論文ができない ‐闇に入るか‐

第4章 柔軟性が成功を呼ぶ

4-1 リングワンデリング
4-2 研究におけるリングワンデリング −その対処法−
4-3 研究のギアを替える ‐夢のビール作りを一時中止‐

第5章 なぜ合成DNA冠細胞を用いる

5-1 合成DNA冠細胞
   5-1-1 合成DNA冠細胞
   5-1-2 合成DNA冠細胞の形成機構
5-2 DNA冠細胞
5-3 合成DNA冠細胞を用いる利点
   5-3-1 信頼を得られやすい素材での研究
   5-3-2 研究の回転が早い
   5-3-3 合成DNA冠細胞‐生命科学の課題を解く材料となれるか‐

第6章 合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ) ‐要約‐

6-1 合成DNA冠細胞が集合する ‐アセンブライの形成‐
6-2 アセンブライ内での細胞様構造物 ‐合成DNA冠細胞‐
6-3 合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ)からの細胞の産生 ‐2度のモノラウリンの刺激‐
6-4 結果の整理‐比喩的表現‐

第7章 合成DNA冠細胞と微生物で形成する集合体(アセンブライ)

7-1 合成DNA冠細胞と枯草菌の集合体(アセンブライ)の形成手順
   7-1-1 合成DNA冠細胞を作る
   7-1-2 合成DNA(アコヤ貝)冠細胞と枯草菌による集合体(アセンブライ)
   7-1-3 集合体(アセンブライ)における枯草菌の性状
7-2 合成DNA冠細胞と酵母で形成される集合体(アセンブライ)
   7-2-1 巨大な集合体(アセンブライ)の形成
   7-2-2 集合体(アセンブライ)内での酵母の性状 ‐酵母が殺される‐
7-3 顕微鏡観察について

第8章 自発的、食塩による合成DNA冠細胞の集合体(アセンブライ)

8-1 研究方針の変更 ‐原点に戻る‐
8-2 食塩による合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ)の形成
8-3 無機物質による合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ)の形成
8-4 合成DNA冠細胞の培養による自発性集合体(アセンブライ)の形成
8-5 集合体(アセンブライ)内の球状様物体
8-6 いくつかの問題が発生

第9章 合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ)
    ‐モノラウリンによる結晶様物体への変換‐

9-1 自発的に形成された集合体(アセンブライ)のモノラウリンによる結晶様物体への変換
9-2 食塩、無機物質で形成された集合体(アセンブライ)のモノラウリンによる結晶様物体への変換
9-3 結晶様物体とは

第10章 合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ)からの細胞誕生
     ‐モノラウリン刺激による細胞の誕生‐

10-1 序
10-2 誕生日のプレゼントか
10-3 うまくいかない追試
10-4 研究方法を再チエック
10-5 合成DNA(大腸菌)冠細胞集合体(アセンブライ)からの細胞誕生の姿

第11章 合成DNA冠細胞の作製から細胞の誕生まで
     ‐プロトコールとディスカッション‐

11-1 合成DNA冠細胞を作る
11-2 合成冠細胞集合体(アセンブライ)の形成
11-3 合成DNA冠細胞集合体(アセンブライ)のモノラウリンによる結晶様物体への変換
11-4 細胞の誕生、再生
11-5 細胞がリフォームした合成DNA冠細胞から誕生するとは ‐ディスカッション‐

第12章 DNA冠細胞‐発展の基礎となる課題
     ‐試験管内培養方法、細胞内の増殖、生命のカギを握る物質生体内挙動‐

12-1 合成DNA冠細胞の試験管内培養法を確立する
12-2 合成DNA冠細胞が、細胞内で増殖できるか
12-3 生命のカギを握る物質になるか
12-4 DNA冠細胞が生体内でみられるか
12-5 積み重ねる研究

終章 生涯現役〈科学者〉

1 それぞれの生涯現役
2 生涯現役者から力を得る
3 生涯現役科学者とは
4 如何に長く生涯現役を通せるか

おわりに


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