応用細胞資源利用学・第3巻

‐細胞機能によるエネルギー生産と利用‐




データ

作者名 作品の分類 ページ数 書籍サイズ 定価(税込・円)
日本応用細胞生物学会 生物 200 A5 3,850

ISBN
978-4-86420-241-1




概要
日本応用細胞生物学会発行の学術書の第3巻にあたる。

「応用細胞資源利用学」は、細胞を資源として利用、応用することを研究する科学であり、日本応用細胞生物学会ではその発展を主旨としている。

科学の現状は、細胞の応用、利用に関する科学が、化学、食品、医薬、電気、機械、エネルギー、環境、福祉、情報、自然災害などあらゆる分野に貢献できる事を示唆している。

日本応用細胞生物学会では、応用細胞に関するシンポジウムを開催し、また、「応用細胞資源利用学」の出版を通して、細胞を基盤とした未来への産業化への道造りを模索している。たしか、「応用細胞資源利用学‐第1巻‐」(2012年)を出版したころと記憶しているが、著名な東京大学の生化学者の先生から、エネルギーを取り上げたらという一言を頂いた。この数年、この分野に理解のある第一線の研究者の方々のご協力を頂き、4回にわたり「細胞機能とエネルギー」に関してシンポジウムを開催し、理解を深めてきた。

「細胞機能とエネルギー生産」をテーマとして、本書が出版される事は、未来への大きな希望が期待される。


目次
出版に際して
(執筆:猪岡尚志)


第1章 SDGsに向けたバイオ燃料研究を変革するスマート細胞工学の発展
‐合成生物学的育種の発展形‐
(執筆:植田充美)

1. 未来型のバイオ燃料研究のコア
2. 細胞表層工学 (Cell Surface Engineering) による酵素触媒プロセスの技術革新‐アーミング技術の展開
3. ホワイトバイオテクノロジーとグリーンバイオテクノロジーの融合によるセルロース資源のエネルギーへの直接変換
4. ブルーバイオテクノロジーによる海洋資源のエネルギーへの直接変換
5. 終わりに

第2章 生体触媒を利用した二酸化炭素の燃料分子への変換
(執筆:天尾 豊)

1. はじめに
2. 色素分子とギ酸脱水素酵素とを利用した二酸化炭素のギ酸への光還元系
3. 色素分子と複数の生体触媒を用いた二酸化炭素のメタノールへの光還元系
4. まとめ

第3章 微生物機能を利用したバイオエネルギーの生産
(執筆:島 純)

1. はじめに
2. 炭素の循環
3. バイオエネルギーに求められる特性:カーボンニュートラルと再生可能性
4. 微生物機能によるバイオエネルギー
  4-1 バイオエタノール
  4-2 バイオディーゼル
  4-3 炭化水素
  4-4 メタン
  4-5 水素
  4-6 発電
5. おわりに

第4章 超好熱菌を用いたバイオマスからの水素生産
(執筆:金井 保)

1. 生物的水素生産
2. 超好熱菌の特徴
3. 超好熱菌による発酵水素生産

第5章 ヘドロを浄化する微生物燃料電池‐開発と実用‐
(執筆:日比野忠史・TOUCH NARONG)

1. はじめに
2. SMFCにおける電子伝達機構と電位
  2-1 SMFCの発電機構
  2-2 燃料電池(水素酸素)反応の標準電極電位
  2-3 SMFCでのアノード電位の損失機構
  2-4 泥層内での電子生成と電極への電子伝達
  2-5 カソード電極での酸化還元反応と損失
  2-6 電極材料と活性エネルギー
3. SMFC起動に伴う過電圧の定式化
  3-1 SMFCの可能取得電圧(起電圧OCVと過電圧OV)
  3-2 電子伝達物質と酸化還元電位
  3-3 電圧損失の定式化
4. 酸化還元電位(ORP)の測定
  4-1 電位測定の基本
  4-2 水素電極の特性
  4-3 ORP測定 vs SHE
  4-4 化学反応の速度(微生物の役割)
5. 実水域でのSMFCの能力
  5-1 エネルギー(電力)の回収能力
    (a) 海域環境に伴う発電能力(電流)の変動
    (b) 昇圧による電力利用
  5-2 ヘドロの浄化能力
    (a) 堆積泥による溶存酸素消費の低減
    (b) 現地データに基づいた酸素消費の低減量の算定
    (c) 還元状態にある堆積泥環境の改善(硫化水素による酸素消費、毒性の低減とリンの固定)
  5-3 電力の利用(蓄電)
6. 実課題に対するSMFCの開発と適用
  6-1 下水汚泥が堆積する場での生態系の再生
  6-2 養殖場での貧酸素化抑制(牡蠣のへい死抑制)
7. おわりに

第6章 スフィンゴシン、DNA、卵によるDNA冠細胞(人工細胞)
‐藻(ナンノクロロプロシス)由来DNA冠細胞の作製法‐
(執筆:猪岡尚志)

1. はじめに
2. DNA冠細胞(人工細胞)作製法-概略-
3. 人工細胞形成の仕組み
  3-1 スフィンゴシン・DNA粒子の形成
  3-2 結合因子(Binding factors)発見と同定
    3-2-1 序
    3-2-2 ホヤにおける結合因子(Binding factors)の同定
    3-2-3 スフィンゴシン・DNAとアデノシンの結合による粒子形成
    3-2-4 卵白内での増殖
4. 卵白内における人工細胞の形成と増殖
  4-1 序
  4-2 人工細胞の卵白内での形成
  4-3 プラズミドを加えた人工細胞の作製
  4-4 DNA冠細胞(人工細胞)の保存と継代
5. 藻(ナンノクロロプロシス)のDNAを用いたDNA(Nannochloropsis)冠細胞(人工細胞)作製の実例
  5-1 序
  5-2 材料とその調製
    5-2-1 スフィンゴシン
    5-2-2 DNAの抽出(例)
    5-2-3 アデノシン・モノラウリン酸化合物の合成(例)
    5-2-4 アルブミン
    5-2-5 卵
  5-3 DNA〈藻:ナンノクロロプロシス〉冠細胞の作製方法(例)
  5-4 卵白からのDNA冠細胞(人工細胞)の回収(例)
  5-5 観察
  5-6 コメント
6. おわりに DNA冠細胞(応用への展望)

第7章 微生物の必要酸素量供給AOSDエネルギー制御システムによる汚水処理の省エネ高度化
‐環境再生の為の細胞機能によるエネルギー生産と実用‐
(執筆:稲森隆平、稲森悠平)

1. 水環境問題の現状と有用微生物を活用したエネルギー供給制御高度処理の重要性
2. 有機性排水の生物処理技法開発の経緯と省エネルギー最適技法の国際化の意義
3. 生物処理における曝気エネルギー消費者としての独立・従属栄養微生物の働きと有機物の酸化・分解
  3-1 独立栄養に係わる微生物の働き
  3-2 従属栄養に係わる微生物の働き
  3-3 従属栄養微生物による有機物の酸化
4. 生物処理における硝化・脱窒反応に係る微生物とエネルギー利活用安定化反応機構
  4-1 硝化・脱窒細菌の位置づけと役割
  4-2 生物学的硝化脱窒法の原理および機構
  4-3 生物学的硝化反応
  4-4 生物学的脱窒反応
  4-5 生物学的硝化・脱窒反応プロセス
  4-6 硝化・脱窒反応の効率化
5. 生物処理における汚泥減量化と最適なエネルギーの利活用
  5-1 汚泥減量化の微生物の位置づけと機構
  5-2 汚泥の減量化に関与する微小動物の増殖特性
  5-3 汚泥の減量化に関与する微小動物の収率
  5-4 汚泥の減量化に関与する微小動物と水質浄化
  5-5 汚泥の減量化に関与する微小動物の異常増殖
  5-6 汚泥減量化の効率化
6. 生物処理におけるリン蓄積細菌の機能と嫌気好気エネルギー消費の最適化
  6-1 リン蓄積微生物の位置づけ
  6-2 リン蓄積菌の分離培養法
  6-3 リン蓄積菌の種類
  6-4 リン蓄積菌の代謝機構
  6-5 リン蓄積能の効率化
7. 生物処理システムを支配する食物連鎖と群集構造適正化のためのエネルギー自動制御の重要性
8. 生物処理の省エネ・高度化におけるエネルギー自動制御の意義と必要性
9. 水質高度化・エネルギー電力削減技法としてのAOSD(Automatic Oxygen Supply Device)システムの特徴と意義
10. 生物処理のエネルギー自動制御のための中核となるセンサー計測技法の重要性
11. AOSDシステムによる処理の高度化・エネルギー電力削減の効果
12. AOSDシステム導入によるエネルギー制限下のpH中性化による処理の高度化
  12-1 生物処理の運転法におけるpHと処理機能との関係
  12-2 エネルギー最適供給AOSDシステムの運転操作条件
  12-3 活性汚泥pH変化と排水処理特性からの比較解析
  12-4 活性汚泥反応槽のpH変化と各系列の生物相特性比較評価
  12-5 活性汚泥の汚泥特性からのAOSDシステム優位性の比較解析評価
13. 有機性排水処理におけるAOSDシステム等自動制御方式の必要不可欠性


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