板紙類の押抜き加工

Mechanics and Technology of Form Cutting for Paperboard-Like Materials Processing



データ

著者・編者名 作品の分類 ページ数
複合材型加工研究会 工学 360

書籍サイズ 定価(税込) ISBN
B5 3,850 978-4-86420-155-1




概要
本書は、板紙を母材とする包装材の成形問題を解析したものであるとともに、関連する工具刃物の摩耗と構造力学を取り扱っており、板紙や金属箔、樹脂薄板材等(紙類)を素材とする複合の積層板材を成形加工するための基礎的な材料力学の知識について、加工現場での意見を参考に筆者らの研究経験をまとめたものである。

本書の特長として、加工問題の一部を単純化や理想化をして、力学現象を解り易くすることや、不具合の諸現象を明確にするために支配因子を実験や計算の条件として大きく変えてみることを試みて紹介している。

目次

まえがき

発行にあたって

序論

第1部 基礎知識編

第1章 板材の型抜き加工法
1.1 型抜き工程の概要
1.2 基本的な加工法
1.2.1 切断加工
1.2.1.1 せん断加工
1.2.1.2 直交切りと接線切り
1.2.1.3 引切りと押切りの違い
1.2.1.4 くさび押抜き加工
1.2.2 筋押しと曲げ
1.2.3 型押し成形と箔押し
1.2.4 板材の分離と搬送
1.2.5 貼りと製函
1.3 型工具の構成
1.3.1 工具部位の名称と役割
1.3.2 切刃(steel cutting rule, blade)
1.3.3 面板(counter plate)
1.3.4 押さえ(ejection rubber cork, fixture)
1.4 板材の機械的性質
1.4.1 板材の構造と種類
1.4.2 板紙の押抜き負荷応答
1.4.3 板紙の引張・圧縮試験
1.4.4 板紙の引剥し特性
1.4.5 板紙の面内せん断特性
1.4.6 液体容器用板紙の構造
1.4.7 段板紙[段ボール] の構造
1.4.8 その他の板紙とその構造
(a) 板紙と同程度の厚みを持つ樹脂板
(b) 粘着帯材
(c) 金属系電子基板, 薄膜
1.5 型押抜き加工学の試み
1.5.1 従来技術との対比
1.5.2 研究課題の着眼点
(a) 型抜刃の耐久性と切れ味の変化
(b) 罫線加工における割れと曲げ剛性
(c) 刃先形状と素材板の切断特性の関係
(d) 衝突音響の計測を用いた状態診断の応用
1.5.3 連携技術の体系
(a) 要素技術としての型抜加工学
(b) 一貫生産系の連携
第1章の演習問題と解説
第1章の参考文献

第2章 加工の力学
2.1 材料力学の基礎知識
2.1.1 応力円による応力状態の表現
2.1.2 塑性変形の考え方
2.1.3滑線場理論の概要
2.2 くさび刃はなぜ切れるか
2.3 平均応力法によるくさび分力の評価
2.4 切断に及ぼす押えの効果について
2.5 半無限弾性体への矩形工具の押込み
2.6 矩形工具の塑性体への押込み
2.6.1 半無限平面への押込み
2.6.2 有限厚さの平板への押込み
2.7 くさびの塑性平面への押込み
2.7.1 半無限体への押込み
2.7.2 有限厚みの板材への押込み
(a) 工具と材料の間に摩擦力が無いとき
(b) 工具と材料の間に摩擦力があるとき
2.8 重ねた薄板の折曲げ節点における伸縮流れ
2.9くさび押抜き方式の切断特性
2.9.1 切断負荷応答
2.9.2 切断材の流れ変形特性
2.9.3 切断に及ぼす層間剥離の影響
2.9.4 切断力解放による刃先の衝突
2.9.5 片当りの荷重応答
第2章の演習問題と解説
第2章の参考文献

第3章 押抜き機構と工具の噛み合い性
3.1 押抜き機構の概要
3.2 双対トグル・クランク機構
3.3 加工機の熱変形と隙間調整の原理
3.4 切れむら緩和の原理と考え方
3.4.1 噛み合い方式の名称
3.4.2 不均一噛合の存在と修正作業の問題
3.4.3 むら取り調整機構
3.5 下敷材に作用する圧力と変位
3.5.1 弾性床上に置かれた弾性面板の曲げたわみ
3.5.2 面板の厚さと押し付け線荷重との制約関係
3.5.3 平行に隣接する切刃の相互干渉
3.6 回転式押抜機構
3.6.1 型抜機の概要
3.6.2 圧下調整機構の力学
(a) Hertz の接触理論(弾性接近量)
(b) 切刃円筒のたわみ
3.6.3 回転式押抜刃の軌跡
第3章の演習問題
第3章の参考文献

第2部 詳細編

第4章 板紙の筋押しと曲げ加工
4.1 罫線の曲げ成形
4.1.1 板紙の罫線曲げの基礎力学
4.1.2 段板紙の罫線曲げ
4.2 罫線に要求される性能とその評価法
4.2.1 段板紙の縦罫線
4.2.2 板紙の罫線に要求される性能
4.2.3 板紙の罫線性能の評価法
4.2.4 罫線に関する研究記事
4.3 板紙の罫線の形状と加工条件の関係
4.3.1 白板紙の罫線の成形特性
4.3.2 アルミニウム箔を貼った白板紙の罫線の成形性
4.4 板紙の罫線部の引張強さと表面割れの関係
4.5 板紙の罫線の曲げ特性
4.5.1 曲げモーメント抵抗の応答特性
4.5.2 曲げモーメント抵抗の極大点発生機構
4.5.3 曲げモーメントの極大点と初期曲げ剛性
4.5.4 極大点と初期曲げ剛性に及ぼす筋押方向の影響
4.5.5 箱成形性と曲げ抵抗の関係
4.6 加工条件と罫線形状の状態図
4.7 罫線の寄量と曲げ剛性に及ぼす工具の位置精度
4.8罫線変形特性に及ぼす押罫刃先形状の影響
第4章のまとめ
第4章の参考文献

第5章 板紙の切断加工性
5.1 面外せん断特性
5.1.1 はじめに
5.1.2 せん断試験の条件
5.1.3切断負荷応答と変形流れの様子
5.1.4刃先隙間が切断面形状に及ぼす影響
5.1.5厚み方向のひずみ依存性
5.1.6 せん断強さに及ぼす板紙の異方性
5.1.7 まとめ
5.2 くさび押し抜き特性
5.2.1 基本的な切断機構の概要
5.2.2 切口形状と刃先形状の関係
5.2.3 刃先形状と荷重と糸状紙粉発生の関係
5.2.4 刃先変位の算出について
5.2.5 押し抜き抵抗と面外圧縮特性との関係
5.2.6 異方弾性係数の影響
5.2.7 厚み方向縦弾性係数に関する近似展開
5.2.8 表面破断特性に及ぼす刃先角度の影響
5.2.8.1 実験的な観察
5.2.8.2 直交異方弾性を考慮した応力の数値解析
5.2.9未切断端部の3次元効果
5.2.9.1 実験条件
5.2.9.2 未切断部による線荷重分布の評価モデル
5.2.9.3押し抜き過程の荷重応答特性
5.2.9.4 第1極大(変曲) 点に及ぼす未切断長さの影響
5.2.9.5第2極大点に及ぼす未切断長さの影響
5.3 重ね切り特性
5.3.1 塗工層の有無が切断特性に及ぼす影響
5.3.2 非塗工面重ね切りにおける残留抵抗の挙動
5.3.3 切断途中の変形の観察
5.3.4 片刃を用いた重合切断
5.3.5 まとめ
5.4 つなぎの面内引張強さ
5.4.1 実験方法
5.4.2 つなぎの引張特性
5.4.2.1 切断方位角度φと引張特性の関係
5.4.2.2 溝幅が引張特性に及ぼす影響
5.4.2.3 刃先潰れ幅が引張特性に及ぼす影響
5.5 押し抜き特性に及ぼす押型の影響
5.5.1 押型が断面形状と負荷特性へ及ぼす影響
5.5.2 押型の隙間が負荷特性に及ぼす影響
5.5.3 刃先幅と押型が負荷特性に及ぼす影響
5.5.4 数値計算による表面の応力分布
第5章のまとめ
第5章の参考文献

第6章 アルミニウム板の切断加工性
6.1 はじめに
6.2 厚板の加工特性
6.2.1 潰れ刃による前半行程の負荷特性
6.2.2 潰れ刃による後半行程の変形特性
6.2.2.1 第1次と第2次くびれの現象
6.2.2.2 切り離しの統計的挙動
6.2.2.3 くさび効果と据込みの解析
6.2.3 まとめ
6.3 下敷きを使った薄板の加工特性
6.3.1 はじめに
6.3.2 実験的な特性
6.3.3 数値計算による切断挙動
6.3.3.1 計算条件
6.3.3.2 降伏点の影響
6.3.3.3 縦弾性係数の影響
6.3.3.4 板厚と摩擦係数の影響
6.3.3.5 降伏応力と縦弾性係数による切断様相の分類
6.4 回転式押抜刃による加工性
6.4.1 はじめに
6.4.2 実験と計算の条件
6.4.3 切刃の押込率と変形の関係
6.4.4 切口形状の比較
6.4.5 まとめ
第6章の参考文献

第7章 工具の力学と耐久性
7.1 はじめに
7.2 面板のかみ合い耐久性
7.2.1 実験条件
7.2.2準静的な短期押抜きによる工具の潰れ
7.2.3 連続押抜きによる工具の形状変化
7.2.4 まとめ
7.3 くさび刃の噛合い耐久性
7.3.1 はじめに
7.3.2 切断回数n と刃潰れの関係
7.3.3 切断抵抗と刃潰れの関係
7.4 刃先の初期形状と構造的潰れの安定性
7.4.1 はじめに
7.4.2 台形刃の初期刃先幅と刃潰れの関係
7.4.3 円弧刃の初期刃先半径と刃潰れの関係
7.4.4 刃先の倒れ挙動
7.5 焼入れされた切刃の潰れ強度
7.5.1 焼入層と熱影響層の構造的潰れ
7.5.2 刃先と刃底の二重潰れの構造的特性
7.6 刃先と面板の硬さに関する組合せ
7.6.1 はじめに
7.6.2 滑線場理論に基づく接触境界面の流動と釣り合い
7.6.3 静的押付けによる切刃と面板の接触変形
第7章の参考文献

第8章 非破壊検査法による板材の切断挙動評価
8.1 はじめに
8.1.1音響検知器を用いた変形挙動評価の導入
8.1.2 AE 装置の概要
8.1.3 信号処理方法
8.1.4 AE 信号検知器
8.1.5 AE 検知器の感度校正
8.1.6 ペンシル芯圧折法
8.2 板紙の強度評価
8.2.1一般的な延性金属等の引張試験
8.2.2 板紙の引張試験
8.3 繊維長さの影響
8.4打抜き過程のAE信号の解析
8.4.1 AE信号からみた板紙の切断挙動と刃先形状との関係
(a) 板紙の抄造方向に対する切断方位よる 2nd AE 信号の相違
(b) 切刃先端の形状と変形速度による2ndAE 信号への影響
8.4.2 刃線圧力の偏りとAE信号の関係
8.5 本章の終わりに
8章の参考文献

著者紹介
複合材型加工研究会/編

永澤 茂(長岡技術科学大学)
福澤 康(長岡技術科学大学)
村山光博(長岡大学)
鈴木茂和(福島工業高等専門学校)


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