作者名 | 作品の分類 | ページ数 |
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西元教善 | 数学教育学 | 170 |
ISBN | 書籍サイズ | 定価(税込・円) |
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978-4-86420-029-5 | A5 | 2,200 |
概要 |
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本書は、脱ゆとり教育として改定された新教育課程の高校数学において、新規に導入される「課題学習」で採択が見込まれる授業形態「グループ学習」について、数学がわかるための一形態として、以前から取組んできたさまざまな実践を紹介し、課題学習や日々の授業の教育的支援とすることをねらいとしている。 これまで実践した「グループ学習」は、(a)学校全体での取組,(b)理数科数学分野の取組、(c)個人的な授業での取組の3つに分類される。(a)はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)でのグループ学習、(b)は理数科行事:理数科課題研究(探究数学:2年次)でのグループ学習、(c)は(理数科における)通常授業でのグループ学習である。 なぜ、数学がわかるための一形態として「グループ学習」を挙げたのか。―それは、今の日本の教育の抱える問題点を解消するためである。今の日本の学校教育は「勉強」の場ではあっても「学び」の場ではなくなっている。「学び」の場でなくなれば、広い意味での学力低下は否めない。そこで、グループ学習を「学び」の場にしよう、というわけである。 今の子どもにはコミュニケーション能力が不足していると指摘されている。授業でそれを解消するには、知識伝達的な一斉授業ではなく、グループの仲間と対話し,個と個の摺り合わせによる「協同的な学び」の中で、自らのアイデアを仲間に提供し、また、他者のアイデアから謙虚に学び合う活動的な「学び」、つまり、一方的な「伝達」ではなく、双方向的な「対話」で理解を深める機会が増える『学びの形態』が必要である。それを可能にする授業形態が「グループ学習」である。グループ学習のねらいは「学習におけるコミュニケーションや協力性を養い、相互刺激の中で切磋琢磨し、互いに教え合うことで、共に理解を深化させながら、学ぶ楽しさや発見する楽しさを味わう」ことである。 特に数学に関しては、①数学から逃避している生徒の数学回帰,②数学への興味・関心を高める,③生徒各人の数学力(理解力、運用力)の向上などの効用が考えられるが、その検証は毎回の実践での生徒観察や実施後に行う「アンケート」で行った。生徒の生き生きとした活動は通常の授業では見られないものである。かといって、毎回の授業を「グループ学習」にするわけにもいかない。そのあたりの課題についても考察した。 本書の構成は次の通りである。 第1章 新学習指導要領からみた数学教育~グループ学習による数学的活動を中心にして~ 第2章 理数科課題研究でのグループ学習Ⅰ~漸化式~ 第3章 理数科課題研究でのグループ学習Ⅱ~整数~ 第4章 授業でのグループ学習Ⅰ 平面図形と作図~新課程数学Aの課題学習の一例として 第5章 授業でのグループ学習Ⅱ 1 なぜ「正接定理」はないのか~生徒の疑問に答えて~ 2 「正接定理」を作ってみよう~実践用プリント~ 3 正接定理を作ってみよう~実践報告~ 第6章 授業でのグループ学習Ⅲ 1 5乗数までの和を発見学習する~数学Bの課題学習として~ 2 4乗数・5乗数の和の公式を作ってみよう~階差数列の利用/実践報告~ 第7章 授業でのグループ学習Ⅳ 行列のn乗と3項間の漸化式~行列のn乗の数列への応用~ |
著者紹介 |
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【経歴】 広島大学理学部数学科卒業(S54.3) 広島大学大学院教育学研究科教科教育学(数学教育学)修了(S56.3) 山口県立岩国商業高等学校勤務(S57.4~S61.3) 山口県立防府高等学校勤務(S61.4~H3.3) 山口県立下松高等学校勤務(H3.4~H14.3) 山口県立岩国高等学校勤務(H14.4~) 【受賞歴】 第58回読売教育賞最優秀賞2009 第55回読売教育賞優秀賞2006 第7回啓林館教育実践賞審査員特別賞2008 第4回武庫川教育賞優秀賞2007 山口県メダル栄光(文化賞)2009 岩国優秀文化賞2010 |
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