何が科学をつぶすのか?




本書は、2002年現在までの日本の科学世界の、歴史と変遷、過去の状況と現状、 問題点と解決などを抜本的に論じ、日本の科学・技術世界を根本から変革することへの 正しい方向を与えることが目標である。この意味で、私が以前出版した本「三セクター 分立の概念 ―日本社会の構造的問題とその解決の方向―『アカデミズムセクター確立に 向けて』」(太陽書房 2001年12月)の姉妹編と言える。実際、本書で議論された 多くの事実はその本の発想の根拠や証拠となるものばかりで構成されているからだ。 しかし、そればかりでなく、本書では日本の科学世界で陥りやすい誤解や錯覚などを ことごとく取り除くことも目的の一つである。特に日本と欧米の間に横たわる科学に関 する思想上の大きな壁を取り除き、少しでも共通した理解の上に物事の取り決めや交流 が行われることを目指している。

さらに、日本の科学者世界の現状、特にこれから科学分野で働こうという、若い科学 者たちの現状に光を当て、いかに現状が科学の発展にとって悪い状況であり、本質的な 科学の発展を阻害しているかを一般の方々に紹介し、それに対する理解をしてもらうこ とも目的である。

この本の内容は、これまで私がおよそ二十数年間に及ぶ、日本国内の大学や大学院に おける学生生活、アメリカの大学への留学経験、民間企業や国立研究所における研究生 活や社会人生活で体験し、つぶさに観察してきた現実に基いて書かれている。その間、 私はその度に出会った問題は、日本のどのような歴史の下に現れたのか? どのように して起こったのか? どうして未だに改善されないのか? いつも考え続けてきた。こ のことの結果が本書である。来る日も来る日も何年も何年も少しずつ少しずつずっと長 期に渡り考え続けてきたことの集大成である。

したがって、書かれた内容のある話題は、私が公表した意見としてすでに新聞や雑誌 や学会誌に掲載されたことがあるようなものであったり、私が自分のホームページで個 人的に掲載しているものであったり、インターネット内の種々の掲示板に投稿したもの であったり、あるいはまだだれにも見せていない未公表のものであったりと、さまざま である。こうした内容を全部まとめて、より普遍的な観点から総括的に作り直したもの が本書である。


書籍の購入方法

詳細ページ

本棚ページ

トップページ