『謎』 邑輝唯史/作 円周率の最後の一桁に出会ったら 宇宙はそのときめきに吸い込まれてしまうだろう 数字とは限らないその解は きっと愛を語る詩人のように嘘っぽい 輪転機が無限に探すが 解けない問題こそ美しい詩のようだ 『雨傘のころ』 蒼風薫/作 雨降りお天気 こんなに続くと 雨傘捨てて ステップ踏んで 雨降りお天気 ようこそ今年も 雨傘いらない 大地に恵み 雨降りお天気 今日はお休み 雨傘ぽつんと 駅の隅 雨降りお天気 今日もお元気 雨傘探して 探されて 雨降りお天気 おさらばのころ 雨傘淋し 靴の果て 『つるぎたち』 ごくろう君/作 おやすみ 雨の日よ 短命な 兄弟たちよ 雨の日よ やわらかな つるぎの 群れたちよ 僕は どんな雨だったろうか 雨の日よ 旅ゆくうたよ お前たちは 幾つになっても 愉快そうに こぼれ落ちてゆく |