「ある人に会いたくても会えない」という人はたくさんいるだろう。それが喧嘩や離婚、死別というケースもあるかもしれない。会いたくても何らかの事情で会えない。いつか会えるに越したことはないが、会えないことの方を受け入れている。
かと言ってそんな思いはいつまでも続くものではないのかも知れない。一年ほど熱病のように会いたくて仕方なかったのに、気がついたら何とも思わなくなっていたというケースもあるかもしれない。何とも思わなくなっても、また何十年かしたら再び会いたくて仕方がないと思う日が訪れるのかも知れない。けろっと忘れてしまったときは、それが当人にとっていいことかも知れないし、そうでないことかも知れない。いつまでも会いたいと思われ続ける側にとっても、永遠に忘れ去られることの方を望んでいるかもしれないし、そうでないのかも知れない。
会いたいという思いに答えはない。会いたいという思いは誰でも持っていいだろうし、誰でも会いたいと思われる側に回ってもいいだろう。でも本当に会えるかどうかは分からない。むしろ会えない方がお互いにとって『幸い』というケースもあるだろう。それでも会いたい。そんな思いは何処に至りつくのだろう? 何処にも至りつかないのかも知れないし、いつかしらそんな思いなんか超越してしまえるものかも知れない。そんなことも分からない。
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