廃 屋

‐(とりあえず)「D」に至ったあと‐



データ

作者名 作品の分類 ページ数
山本幸生 小説 387

ISBN 書籍サイズ 定価(税込・円)
978-4-86420-165-0 A5 2,750





概要



もはや局所的な「切れ端」の単なる集合体と化しているかのように見える現代においても「全体」というものがいまだ存在している。それは、あらゆるところに満ち満ちている極度の「不確定性」というものの総体、それ自体、である。我々が存在する、とは、まさにその「圧倒的全体」としての不確定性と全方面において闘争し、そこからかすかな「意味」のようなものをむしり取り続けていく過程に他ならない。本書は、ありとあらゆる不確定性、突発性の「宇宙」の中において、我々が「意味」というものをいかに「構成」し続けられるか、ということについてのトータルな試みである。

ただ、そこにおける「意味」とは、不確定性それ自体を根拠とする「拡張された」形での意味であり、通常世界におけるあらゆる「意味」が絶えず振動し、転覆し続けている「総体」の中で、ある種、極限的に「収束・結晶化」していくところの、いわば一つ「次元が上がった」所において成立している「意味」なのであって、従ってほとんどそこに「意味」そのものを見出せない者も多いことだろう。

しかし「全体」としての不確定性、において「組み上げ可能な」意味というものは、もはやそういうものでしかあり得ないというところまで「見える」者にとっては、本書に描かれた「世界」こそが「現実世界」を(その局部的「ゆらぎ」として)トータルに把握しうる「メタ次元」的な「場」であることが理解されるはずである。

むろんそのようにして構成された「意味」というのも当然それ自体常に「反転」「発散」していく可能性をはらんでいるし、そして事実そうなるのだが、それがまさに「反転」したということそのものによって、「全体としての不確定性」の上に何かが積み上がっていく、という「光景」を本書において体験していただければ幸いである。




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